「鉄のつえの王国」【書籍】第1章 日本語訳 (その2)

鉄のつえの王国        文亨進  著

第1章
フロリダ州 パークランド Parkland,Florida

2018年2月14日のバレンタインデー、心を病んだニコラス・クルーズという若者がフロリダ州パークランドにあるマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校の前で車を降りた。午後2時19分だ。その2分後、ストーンマン・ダグラス高校元生徒のクルーズは、ドラムバッグとバックパックを背負って12号館へ入って行った。その数秒後、撃ち始めた。

ブロワード郡保安官代理のスコット・ピーターソンはその時キャンパスの事務所にいた。

午後2時22分、火災報知器が作動し、学校中に鳴り響いた。コーラルスプリングの緊急派遣センターを経由して最初の911番への通報がなされた。

午後2時23分、「通知する。ひょっとして・・・爆竹の可能性もあるが、発砲された可能性がある。1200号館で発砲の可能性。」ピーターソンが無線連絡を入れた。

その時にはピーターソンは12号館の南東の角の到着していた。
「120号館だ!ホルムバーグ・ロードを隔てた建物だ」数秒後、ピーターソンは半狂乱になって叫んだ。

銃の乱射は、最初は廊下、さらに、1階と2階にわたって5つの教室で繰り広げられた。911コールセンターに電話が殺到しはじめた。キャンパスから生徒たちが逃げ出してきた。ピーターソンは「校舎の中に入らないように!」と放送する。

校舎内で銃声が聞こえていたにもかかわらず、ピーターソンは校舎の外に居続けた。

午後2時27分、クルーズが12号館に入って6分後、銃声は止まった。自分のAR-15ライフルとベスト、そしてすこしばかりの銃弾を3階の階段に置いたまま、その場から立ち去った。

午後2時32分、銃撃が始まってから11分後、コーラルスプリングの警官4名とブロワード郡安全公安官補2名が「犠牲者を現場から連れ出す」ため、警官として最初に現場に到着した。

通りの先、クルーズはウォールマートに入りサブウェイで飲み物を買っていた。

午後3時40分、ココナッツクリークの警官がクルーズを発見し、抵抗を受けることなく逮捕した。翌日、クルーズは17件に上る第1級殺人と17件の殺人未遂で起訴された。

犠牲者は—

スコット・ベアイジェル: 地理教師で銃撃が始まったとき生徒たちを自分の教室に戻るように手招きしているときに射殺される。

アーロン・ファイス: アシスタント・フットボールコーチ、飛んでくる銃弾から生徒を守ろうと生徒の前に身を投げたときに射殺される。

クリス・フィクソン: ダグラス高校体育局長

アリッサ・アルハデフ 14才
マーチン・アンギアーノ 14才
ニコラス・ドレット 17才
ハイメ・ガッテンバーグ 14才
ルーク・ホイヤー 15才
キャラ・ラウラン 14才
ジーナ・モンタルト 14才
ジョアキン・オリバー 17才
アライーナ・ペティー 14才
メドー・ポラック 18才
ヘレナ・ラムゼー 17才
アレックス・シャクター 14才
カーメン・シェントラップ 16才
ピーター・ワン 15才

悲しみにくれる生徒と両親は「なぜ、こんなことが起きたのか」と問うた。武装した警官がキャンパス内にいたのに。

また、他の者は犯行に使用されたAR-15セミオートマチックライフルに意識を向け、アメリカ国内での販売の禁止を求めた。

難を逃れたパークランド高校の生徒はCNNが御膳立てした集会、その他のテレビニュースに出演してAR-15の販売制限ないし禁止する法律を即時制定するよう求めた。

高校生たちは憲法修正第2条を支持する国会議員はNRA(全米ライフル協会)のいいなりになっていると非難した。

俳優のジョージ・クルーニーとその妻は、全米の銃暴力反対運動のために50万ドル寄付した。クルーニー夫妻の主張は他の有名人たちに同様の行動を促した。そこで繰り返し叫ばれた題目はこれだった。

「NRAに死の責任がある」

銃規制の法律が事件を防ぐ、ということに懐疑的な他の生存者は、CNNの集会で話もさせてもらえなかった、あるいは意見が事前にCNNのスタッフによって没にされた、と不満を述べた。
 
 
国民の生命を守れなかった政府  Government’s Failure to Protect Lives
 
今回の銃撃事件は市民の生命を守るべき政府の無能を、まさに悲劇的な形で証明した。いかなる理由があったにせよ、ブロワード郡の保安官代理スコット・ピーターソンは学校の中に入り、犯人と交戦あるいは制止することができなかった。他の警官が到着したときには銃撃は終わっていた。

この事件以前に、地元の自治体はニコラス・クルーズの常軌を逸した、暴力的な挙動について(当局に)39回も通報していた。伝えられるところによれば、クルーズは「人々を殺し、全身に血を浴びる」夢を見たという。また、動物を虐待したり、銃弾を詰めたバックパックを教室にもって行ったり、暴力をふるう脅しをかけたりしていた。警察当局はクルーズが危険であるという警告を再三受けていたが、対処しようとはしなかった。

FBIもクルーズに関する2つの情報について対応し損ねた。一つは、インターネット上でクルーズが残した次のようなコメントだ。

「俺はプロの学校射撃手になる」

暴力の脅迫はそれだけで重犯罪であり、逮捕および銃器購入を禁止することが許される。
 
いったいなぜこれらの脅迫にもかかわらず彼は逮捕されなかったのか。その答えに読者は驚くだろう。5年前にブロワード郡の公立学校は、問題のある学生の逮捕を減らす趣旨のオバマ政権の政策を受け入れていたのだ。2013年にブロワード郡の学校はその指導方針を改めた結果、問題ある生徒が、薬物使用、暴行、その他の犯罪行為などの問題行動をとっても停学、退学、逮捕することが実際できないようになっていた。
 
その理由は?
 
学内で犯した犯罪のために刑務所送りになる少数派(マイノリティ)の学生の数を減らすためというのがその理由だ。
 
 
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