グローバリストが中国を豊かにした

  
  
 
貧しい好戦的独裁国家・中国を、現在の豊かな、そして、より好戦的な独裁国家に仕立てたのは何者なのか。

任期満了間際の2000年、42代アメリカ大統領ビル・クリントン(1993-2001)は、中国と拡大的、網羅的、包括的に経済面で関わっていくことが、好戦的な独裁国家中国を平和的でリベラルな民主主義国家にかえるという、一見壮大で理想主義的なビジョンを掲げて中国との経済的交流を積極的に進めた。当時、エンゲージメント(関与)政策ということばが飛び交ったものだ。

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具体的には、クリントンは中国のWTO加盟(WTO 世界貿易機関-自由貿易促進を主たる目的として創設された国際機関で常設事務局がスイスのジュネーブに置かれている)を支持するように議会に要求し、「中国を受け入れることで、より大きな影響力を及ぼすことができる」と厳(おごそ)かに説いた。

壊滅的な経済的帰結を招いたという点で、これほど誤った判断を下したアメリカ大統領は他にはいない。

中国がWTOに加盟すると、産業界のクリントン支持者たちは一斉に生産拠点を中国へ移し始め、その結果アメリカでは7万もの工場が閉鎖に追い込まれた。失業者、非正規雇用者の数は2500万人以上となり、アメリカの貿易赤字は年間3000億ドル以上にまで膨れ上がった。現在、アメリカの対中貿易赤字は何兆ドルにも達している。

中国のGNP Google 検索

中国のGNPの推移

もちろん、こうした経済的大打撃があったにせよ、中国を攻撃的な独裁国家から平和的でリベラルな民主国家に変えるという目標が達成できたのであれば、中国との関わりも無駄ではなかったと言えたかもしれない。だが、エコノミストのイアン・フレッチャーがいうように「中国の経済成長は中国の民主化にはつながらなかった。独裁国家の経済力向上にしかつながらなかった」のである。

ここで「経済的関与が民主化と平和を促進する」という主張の論拠を知るには「USA★エンゲージ」というウェブサイトを見るのが一番だ。「USA★エンゲージ」とは「農業団体とメーカーの幅広い連合」と自称する団体で、そのメンバーにはアップル、ボーイング、キャタピラ、コナグラ、ユニオン、カーバイド、ウェスティングハウス、ゼロックスなどアメリカのそうそうたる多国籍企業が名を連ねている。こうした多国籍企業にとって、独裁国家中国は一大市場であるだけではない。安い労働力が無限に手に入り、税負担を劇的に軽減でき、環境保護規定や衛生安全規定が事実上存在しない中国は、生産拠点のおもな移転先でもあったのだ。

 
 
*ほぼ、ピーター・ナヴァロ著 赤根洋子訳「米中もし戦わば」戦争の地政学からの引用

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